2005年05月27日

やさしくキスをして

FOND.jpg

タイトル:Fond Kiss..., Ae
製作  :2004年
監督  :Ken Loach
出演  :Atta Yaqub、Eva Birthistle、Shamshad Akhtar、Ghizala Avan

自分を基準にしてしか物事を判断できないと思う気持ちと、
自分以外の何かの「規範」に従って物事を判断するのが
合理的かつ「正しい」のではないかという思いが、
葛藤となって表れていくのが、今そこにいるあなたであり私である。
しかし、あなたや私は単純であるがとても複雑な存在でもあるので、
やはり物事を判断するときに、自分の基準に沿って判断をするし
「規範」に沿って判断してみたりもする。これが自由というものだろう。
どうだ、あなたや私の目の前には自由がごろごろ転がってるぞ。
と言いつつも、最近「自由」が欲しいという話を聞いたことがない。
時間が欲しいという話は聞く。
じゃあ「自由」とは「時間」のことなのだろうか?おそらく、そうだろう。
人は楽しい時間、愛し合う時間を求める。


「やさしくキスをして」はイスラム教徒の男性カシムと
アイルランド人でカソリックの高校で音楽教師をしているロシーンが恋に落ち、
そしてたがいの背負っているものの違いによって問題にぶつかる。
そんな映画である。
こう書いてみるととてもシンプルな話のように思えるが、
実際は単純で複雑な話であり、それがこの映画を魅力的にしている。

身近な話なのか遠い話なのか
イマイチ距離がつかみにくい問題として宗教の問題がある。
他の国とか民族とかはビンビンくるようなリアリティのある問題として
あるのかもしれないが、わたしは正直距離がとりにくい問題だなぁと思う。
それはなぜかといえば、
単純に自分が特定の宗教を信仰しているわけではないというのと、
環境も宗教が取り立ててなにかの軋轢や問題を
生じさせているという状況ではなかったというのが、
そのような思いを持たす大きな要因だろう。
宗教はこの映画では二人にとって大きな壁として存在している。
それはカシムは厳格なイスラム教徒である両親に
イスラム教徒の従妹を婚約者として迎えなくてはならないからだ。
ここでは個人の意思や自由よりも宗教的規律、
そしてそれに准ずる家族というものが最高の美徳とされている。
だからその婚約を破棄して家を出たカシムは両親からだけでなく、
その近所の住民たちにも軽蔑の目に晒されることになるのだ。
自分の幸せよりも大切なものって・・・。

宗教の大切さを私には実感できない。
そして社会の規範の素晴らしさを素直に信じることができない。
だから個人の自由を基準にしてしまう。
しかし、それが正しいことかどうかは分からない。
じゃあ正しさはわたしあなたにどんな幸せをもたらしてくれのだろう。
正しさが問題ではないな。いかに「自由」であるかが問題だ。
その自由も何もない自由ではなく、何かある自由というものだ。
その自由が手に入ったなら、
宗教であろうが社会であろうが家族であろうが個人であろうが、太刀打ちできないぞ。
もしあなたがその自由を持っていないなら、
この映画のカシムとロシーンのように七転八倒しながらやさしく生きましょう。

(文化遺産)

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posted by つるっと温泉卵 at 01:45| Comment(0) | TrackBack(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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