2006年07月19日

やわらかい生活

やわらかい.jpg
タイトル:やわらかい生活
製作  :2005 日本
監督  :廣木隆一
出演  :寺島しのぶ,豊川悦司,松岡俊介
      田口トモロヲ,妻夫木聡

景色が印象的だ。
蒲田の街並みがとても魅力的に撮られているので、主人公の優子(寺島しのぶ)のように移り住みたくなる欲望に駆られる。
東京であるがちょっとどこかバタ臭い街、蒲田。
映画の中では“粋がない下町”と言われていた。
うむ、確かに。
思えば、廣木隆一監督は風景を魅力的に撮るのがうまい。
『やわらかい生活』の蒲田であったり、『ヴァイブレータ』の唐突に出会う祭りであったり、『4TEEN』の月島での花火、『ラマン』での花火…、てまあ最近の作品ではこんなところが印象に残っている。
その中でも『やわらかい生活』はとびぬけて景色がいいように思う。
だから物語に集中しようと思いつつ、ついつい景色にうつつを抜かしてしまうのだ。
それはそれで気持ちよいものである。
この作品は『ヴァイブレータ』のメンツが再び集まり、現代の女性を描いている。
といっても現代の女性なんていってもいろいろな人がいるわけで、おおまかに言うと知的、都会的な女性を描いている。
物語は躁鬱病の主人公優子が蒲田に移り住むと、優子を中心にちょっと変わった人たちがゆるやかに集まり、離れるというもの。
そんな登場人物の中でも重要なのは優子の従兄弟の祥一(豊川悦司)。
子供の頃の二人は姫、殿と呼び合う仲。
それぞれの道を経て大人になった二人の距離の変化を我々はじっくり味わうという按配。
さて寺島しのぶだが、けっして美形の顔立ちではないのだが、不思議と女性としての魅力を感じさせる。
これは演技力の賜物であるだろう、というか出演者はどれも達者で観る者の感情移入を促してくれる。
つまり共感。共感させる映画。なのだ。
よくある日常の風景、よくいる人物、どこでも転がってそうな話であるが、そうそう出会わない。
このバランスが共感を誘うのだ。
となると祥一の顛末はその均衡を微妙に崩している気がして、つまり劇的過ぎて、ふとわれに戻ってしまう。
今考えるとそれもそういう意図かとも思うのだが、これは好みが分かれるところだろう。

ロハスとか好きなやつは死ね!とか思うけど、そういうやつがこういうのってスローライフって言うよねぇ、なんてしたり顔で言っていたら、口中にティッシュ詰め込みつつ鼻もつまんで窒息させてぇなぁ、って言うと想像させる『やわらかい生活』ではあるが、そんなことはない。
このヒリヒリさは男女若者に、貪欲に観て欲しいと切に願うのである。
(文化遺産)



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posted by つるっと温泉卵 at 02:54| Comment(0) | TrackBack(2) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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『やわらかい生活』
Excerpt: それとな〜く幸せ   ■監督 廣木隆一■脚本 荒井晴彦■原作 絲山秋子(「イッツ・オンリー・トーク」文藝春秋刊)■キャスト 寺島しのぶ、豊川悦司、松岡俊介、田口トモロヲ、妻夫木聡、柄本明..
Weblog: 京の昼寝〜♪
Tracked: 2006-07-19 08:51

映画「やわらかい生活」
Excerpt: 30歳過ぎて独身、躁鬱女性の柔らかくない都会の片隅での生活、身に降りかかる不幸に嘘で対抗する、そんな彼女に優しい嘘の得意な男が現れる。 優子(寺島しのぶ)は大企業総合職のキャリアだっ..
Weblog: 茸茶の想い ∞ ??祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり??
Tracked: 2006-07-20 01:56
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